((背中を押されて!)
(
しかしながら自分自身、ドールと一緒に暮らすことなんて一度も考えたことはない。
なぜならお迎えするには最大の難問が待ち構えていたからだ。

「お迎えの結納金が・・・高い」

この世界に飛び込もうとする者ならば一度はぶつかるであろう高い壁。
これを超えられたものにしか与えられないやさしい時間。
それをわかっていながらも超えられず壁の前で立ち尽くすもの、引き返してしまう者。
幾千人もの漢達が去っていったことだろう。
自分もそんな中の一人だった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・背中を蹴られるまでは。

「この娘さん綺麗だなー」
いつもならそれで終わるのに、今回は何故か違った。
「メールをしてみよう」
何か聞きたい事がある訳でもなし、何のためにという訳でもなかったが「綺麗ですね」と伝えるためだけにメールを送った。

「はじめまして」
その方はとても快く返信してくれて、色んなことを教えてくれた。
そして友達も紹介してもらった。
これから先の自分の人生を大きく変えてくれることになる相談役の二人との出会いだった。

お二人からは各メーカーの長所、短所などメーカーサイトを見るだけではわからないことを教えてくれた。
もちろんお迎えすることの素晴らしさも。
その度にどんどん深みにはまって行ったのは言うまでも無い。
しかし、まだ自分の中では「お迎えなんて無理!」と思っていたのに。

お話を聞いていくうちに自分の意識が変わっていった。

ラブドール → パートナー へと。
一緒に居て癒される、毎日クタクタになって帰ってくる僕を待っていてくれる。
どんな時でも文句も言わずに笑っていてくれる。
もし「佳代」ヘッドのパートナーが居てくれたら仕事の疲れなんか吹っ飛ぶのに!

この頃から葛藤が始まる。
一人暮らし、彼女なし。
十分お迎えできる環境にあるんだけど・・・ただ一つ、お迎え費用を除いては。

無理なのはわかっているのにオリエントさんの購入ページを開いては「こればかりはどうしようもない、あきらめろ」と自分に言い聞かせる日々。
「佳代」ヘッドを見てはため息の日々。
それとは逆に二人の諸先輩からは誘惑と背中を蹴られる日々。

ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜こりゃもう無理だ、何とかするかぁー!

中古車を買う資金、これを当てる他に手立てがない。
どうする?これから冬、東北には車は欠かせない。

悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩悩

ここからは自分を納得させる作業に入る。
「冬は危ないから運転は止めよう!」
「忙しいからどこへ行くでもないし!」
「無駄な出費を抑えられる!」

そんな勝手な理由をつけお迎えの決意をしたのであった。
無論、この頃にはもう自分の中では

 お迎え 
だったのは言うまでもない。


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